初めてのノービス戦出場。
たたらと千夏の悪いところが出た。
カップルバランスが悪いのだ。
たたらは男性なのにリードできない。
千夏は女性なのにフォローできない。
明の挑発をきっかけに
千夏が暴走をはじめた。
自分の思うよいダンスを思い切り
踊ってたたらを振り回したのだ。
ふたり一体の動きをするべきなのに
ちぐはぐでまとまらない。
いちおう勝ち残ったが
このままでは絶対おちる。
たたらのフォロー作戦
たたらは決勝で方針を変えた。
音楽がなっても自分から動かない。
「リードする」ことをあきらめたのだ。
じれた千夏が動き出したところを
後追いで追いかける。
大きな動作で追いついて、それから
女性からの次の信号をキャッチする。
男性なのに徹底的についていく。
全身をセンサーにして
相手の動きを予測し,対応する。
「せめて男がリードしてる風に
見えるよう立ち回る!」
リードはもうあきらめた。
たたらは自分が今できることに徹する。
変則的な方法。
外から見るとリードしているようだが
たたらは千夏の動きに反応しているだけだ。
サインを捉え、大きな一歩で追い越す。
「どうして千夏がスムーズに踊れてるの?」
明にも、中でおこっていることが分からない。
うまくいったようだ。
踊り終えた千夏が断言する。
「多分優勝してる」
ノービス戦になんとか勝利
たたら達は2位。
優勝は逃したがD級にあがった。
清春の母、兵藤マリサが話しかけてきた。
マリサ先生は今日もセクシーだ。
(メガネと口元のホクロ、そして胸の谷間よ)
たたら達のダンスを全て見抜いている。
「女の子にばっかりせかせか働かせてずるい子ね」
たたらにはリードができない。
千夏はいい素質をもっている。
首がキレイ。
細身なのに骨太で
体軸が強く背中も広い。
ダンサーの体をしている。
素晴らしい相方を得ながら
たたらは物足りないのだ。
兵藤ダンスアカデミー訪問
たたらはマリサ先生の指摘が忘れられない。
自分には足りないものがある。
このままではいけない。
次の大会に向けて修正したい。
カップル練が必要な時期にもかかわらず
たたらは千夏との練習を断る。
「個人練・・・したいから」
たたらが向かうのはマリサ先生の教室だ。
アポなしの電撃訪問である。
リードができるようになるための
ヒントが少しでもほしいのだ。
どうやら自分には相手を引っぱる気質が
まるごと欠落しているらしい。
どうやっても社交ダンスにならない。
兵藤ダンスアカデミーは雰囲気がぜんぜん違う。
スタジオがきれいで、美女美男しかいない。
たたら達を負かした優勝カップルが
ちょうどレッスンを受けていた。
釘宮たちだ。
「釘宮さんは女を動かすのが上手いから」
たたらとは正反対のダンサーだ。
マリサ先生の指導はていねいで細かい。
釘宮たちはレベルが高い。
とうぜんのように優勝し
その先を期待されている。
「今年は多分三笠杯にも顔を出す」
たたらはこういう人たちに
勝っていかなければならないのだ。