一ヶ月ぶりに仙石が帰国した。
日本で開かれる大会に出るためだ。
日本インターナショナルダンス選手権大会
長い名前だ。
海外の実力者たちが出場する。
世界レベルで戦い勝利する気なのだ。
ひさびさに会う仙石は、体がでかい。
筋肉が厚い。
海外選手と渡り合うために
体を作り込んできたのだ。
体格で負けるわけにはいかない。
もともとの骨格のうえに
鍛え抜かれた筋肉をまとっている。
衣装はスケスケだ。
雰囲気が違う。
日本人ばなれしたオーラをまとっている。
今回最大の相手はヴァシリー・トルカチェフ。
仙石のアマ時代に世界チャンプだった男。
こいつを負かして優勝したい。
トルカチェフも進化していた。
キモい。
フリフリのバスローブを着て
控え室で花に囲まれている。
キティーちゃん的なものをテーブルにおいて
カワイイものに囲まれている。
報道カメラの前で
手を握るべく仙石が近づくと
トルカチェフは股間を握ってきた。
カメラのフラッシュがまたたく中で
そのまま股間を握りっぱなしだ。
アゴが割れてるくせに。
おそろしい男である。
たたらの教室がえ
優勝はトルカチェフだった。
仙石は3位。
敗北。
表彰台の上で落ち込んだ。
優勝者からキスを迫られ
おぞましい思いをした。
完全な敗北。
仙石は控え室で荒れている。
帰り道で、たたらは仙石にあいさつする。
こんどから教室をかえるのだ。
兵藤ソシアルダンススクールへ通う。
仙石に追いつくためだ。
兵藤マリサについて
競技者として仙石に近づきたい。
「気にするな!」
「基礎練はさぼるなよ!」
仙石の回答はあたたかい。
向上心のあるものは、応援したくなる。
兵藤マリサのレッスンがはじまる
兵藤マリサのレッスンはていねいだ。
たたらを競技ダンスのレベルに引き上げる。
「土台からキッチリね」
「あなたは歪な成長をしているから」
一歩おどるだけで山のような注意点を伝えられる。
やることが多すぎる。
たたらはまだラテンを習っていない。
ラテン5種目を覚え、
毎日の基礎練をして
まず土台を作る。
今までやっていたのは
ランニング5km、
縄跳びダッシュ
腹筋
背筋
側近
腕立て
スクワット
それぞれ1曲分X5回
この基礎練を2倍やり
体幹トレーニングとウォーク練
リズム感の練習をプラスするよう
マリサから指示された。
やはりやることが多すぎる。
時間がない。
グランプリへ出場したかったが
マリサはあっさり却下する。
身の丈にあった部門に出場すべき。
今のたたらが出ていい大会ではない。
こっそりとグランプリへエントリー
7月・・・
たたらと千夏は新幹線へ。乗っている
ふたりは静岡へ向かうのだ。
マリサには止められたが
こっそり静岡のグランプリへ出場する。
清春たちと、どうしても戦いたかった。
「来たよー兵藤くん花岡さん」
清春が自分を待っている。
たたらは勝手にそう思い込んでいる。