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【ダンス・ダンス・ダンスール 感想】13巻115話「月がキレイですね」夏目漱石の名言効果

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英語「アイラブユー」の日本語訳

「月がキレイですね」は、夏目漱石の名言とされている。

漱石は英語教師をしていた。

授業中に「I love you.」を「我君を愛す」と直訳した生徒に対して

「日本人はそんなふうには言わない『月がキレイですね』とでも訳しておけ」

と指導したとのエピソードがある。

行間を読ませるマンガ的な表現だ。

夜道をふたりで歩いていて月が見える。

並んで歩くパートナーが

月明かりに照らされてかわいく見える。

そこで出てくる「月がキレイですね」は、

たしかに「アイラブユー」に等しい。

月光の中の夏姫

潤平の思いが高まる。

リュックを投げ出し、シャツを脱いで、

つま先立ちでスカートを下ろす。

夏姫が息を弾ませて髪をあげる。

まるでこれから愛し合うかのような流れだが、

二人がはじめるのはレッスンだ。

バレエの正しい動きを目指して、

動作を訂正していく。

真っ暗なレッスン室で黒い影になって踊る。

潤平は夏姫の手を取る。

夏姫の腰を支える。

主役に選ばれるための必死の練習だ。

でも同時にたまらなく官能的な時間でもある。

「何をしたかは絶対に言えない」

練習に行き詰まるとひと休みだ。

夏姫は床に座ってミネラルウォーターに口をつける。

潤平は夏姫の横顔をみつめる。

潤平の指に、夏姫の唇の感触がよみがえる。

「あの唇が触れた手で」

「あの日、何をしたかは絶対に言えねーっ」

またもや間接的な表現だ。

潤平は興奮を持ち帰り

おうちで自家発電したのだ。

遠回しな言い方をされて

読んでるこっちがやきもきする。

比喩的な表現の効果である。

これはバレエでもやるやり口だ。

姫はくちづけで目を覚ます

お姫様は王子さまのキスで目を覚ます。

おとぎ話ではそうなっている。

だけど目を覚ますまでには

間に色んなイベントがあるのだ。

大人になるとそういったいろいろが想像できて楽しい。

バレエを見せるほうも、想像力を刺激するように物語を作り上げる。

ちょっとした手の動かし方ひとつでニュアンスが伝わる。

視線の方向とか、動き出すタイミングで意味が変わる。

間接的な表現の効果だ。

行間を読ませる技術は効果的だ。

夏目漱石はその辺を分かっていた。

英語の勉強と俳句の創作で訓練したのだ。

漱石は俳句を大量に作った。

俳句は少ない言葉で大きな余韻をつくるゲームだ。

まるでマンガのように「行間を読む」遊びである。

小さな言葉のかたまりに感情が集まる。

バレエにも同じことがある。

潤平の感情が素晴らしいパドドゥにまとまるよう期待する。

「俺はお前の王子となり、サポートしてみせるぞ」

まだまだこれからだ。

 

115話ネタバレ

ジョージ朝倉先生の作業用BGMはグレン・グールド

スマホでも読める:ダンス・ダンス・ダンスール13巻




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