オーロラ姫の役をゲットした響は
テレビクルーからインタビューを受ける。
大抜擢だ。
響の人生がここから大きく変わる。
カメラを向けられた響が語るのは
「チャコットのレオタード」についてだ。
あっけにとられるテレビクルーをよそに
新品のレオタードについて語り始める。
チャコットのレオタード
「このレオタード、チャコットの・・・」
感無量なのだ。
「今まで通販の安いレオタードしか着たことないので」
レオタード語りが止まらない。
「肌触りが全然違う」
「このはごろもは何でできているの・・・??」
「バレリーナの夢・・・???」
あせって助け舟を出す海咲を尻目に
響から、まさかの貧乏エピソードが登場する。
チャコットのレオタードは1万円~2万円。
通販は3千円くらいから。
安いやつですら買うのが大変だったのだ。
響は、プロになるという決意を
「レオタード」で実感している。
あこがれのアイテム、聖なるアイテムだ。
チャコットは高級品だ。
(江頭2:50もチャコットの黒タイツをはいている)
響の子供時代-妄想
「チャコットのレオタード」は
お教室の先生からのプレゼントだ。
リハを見に来てくれていたのだ。
響はつづけて語る。
「先生はいつもバレエの技術だけでなく」
「本やDVDや知識、場所を」
「様々なことを提供してくださいました」
響はおそらくレオタードすら買えず、
お教室に残っているお古を使っていたのでないか。
バレエシューズだってお古かもしれん。
バレエはお金がかかる。
圧倒的な才能と素質に恵まれながら
響には容姿と経済力がなかった。
先生は気にしていた。
バレエ教師の本能である。
響の価値が本当に分かっていたのだ。
通常のレッスンだけではおさまらず
スタジオを練習に使わせてあげたり
資料を貸してあげたりして
「バレエの世界」を見せた。
現実世界では、優秀な人間が勝つとは限らない。
才能も有り、努力家で、素晴らしい実績を残しながら
巡り合わせが悪く、不遇な境遇で
無駄に死んでいく人間はいる。
実力がすべてのバレエの世界でも
「めぐり合わせ」はある。
たくさんの報われなかったダンサーたちの上に
奇跡のようにスターダンサーが現れる。
響の力が生川で認められて
お教室の先生は感無量だろう。
涙を流して喜んでくれた。
貧乏。
ブス。
無理解な家族。
いくつもの困難をのりこえて
響はプロのバレエダンサーになろうとしている。
誰にだって物語はある。
響のシンデレラストーリーはこれからだ。
海咲王子にしっかりがんばっていただきたい。
8月9日発売
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