マガジン 社交ダンス

【ボールルームへようこそ ネタバレ】10巻44話(後)

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地獄への生還

釘宮は死ななかった。
病院で意識を取り戻した。
しかも手術が成功。
リハビリが終わればダンスに戻れる。

腰椎の粉砕骨折と左足・右腕の骨折。
それでも競技に復帰できるとは・・・
奇跡的に救われた。
「悪魔め」
釘宮はあまりの辛さに涙を落とす。
ダンスから逃げることができない。

エダチュー先生が見舞いに来た。
ケガのためダンスはもうできないという釘宮を
こんどはエダチュー先生が追いつめる。
泣きながら釘宮にわびてきた。
指導者として力不足だったと。
それなのに釘宮を手放さずに追い詰めてしまった。
申し訳ない。

釘宮は逃げることができない。
ケガをしてギプスで固められて動けない。
大好きなエダチュー先生が自己否定。

いま釘宮は自由に指導者を選べるようになった。
逆にここまできて、ダンスをやめることが許されない。
ダンスをあきらめる口実が
ひとつひとつ取り除かれていく。

体はリハビリで治る。
指導者を変えて成長が望める。
パートナーは釘宮をはなれない。
この状況でおめおめと引き下がることなどできるか?
できるわけがない。
釘宮はそういう人間だ。

リハビリから復帰へ

ダンスなんか苦しいだけだ。
しかし戻らなければならない。
自分の意志で。
病室で動けないまま
釘宮は身もだえする。
早く回復しなければならない。

マリサ先生も見舞いに来た。
マリサも釘宮のダンスを高く評価している。
しかし他人に評価されることじたいがつらい。
踊るといやおうなく順位がつけられる。
兄たちと比べられることがいやで
ダンスの道にはいったはずなのに
釘宮はなにも救われない。

泣きながら現状を把握する。
釘宮はリハビリに打ち込む。
戦わなければならない。
おりることは許されない。
マリサ先生に相談した。
「『いつまで続くのか』と考えたら
目の前が真っ暗になりました」

マリサ先生の回答はシンプルだ。
「あなただけ羨む才能の持ち主たちにも
それぞれ地獄があるのよ」
ライバルたちも苦しんでいる。
真剣に続けている人間は
けして楽しんでいるだけじゃない。
向上を目指す人間は苦しむ。

たたらの苦しみ

釘宮は復帰してきた。
体はやはり思うように動かない。
不快感をかかえてながら
何とかコントロールしようとあがく。

釘宮はたたらのひたむきさがまぶしい。
たたらも強烈な不快感を抱えている。
思うように動けない。
パートナーの千夏とうまくいかない。
苦しみながらはてしなく模索している。

釘宮はたたらの苦闘を理解している。
かつて自分が経験してきた苦しみだからだ。
ダンスをしているいじょう、
この苦しみは永遠に続く。
上達したいなら苦しまなければならない。

気持ちよく、たのしく踊って
なんとなくうまくなるなんてことはありえない。

仙石からたたらに電話

たたらはパニックだ。
準決勝の成績が悪い。
特にワルツがチェック2つのみ。
現在、暫定4位。
1位の釘宮組はチェック35。
圧倒的に引き離されている。
このままでは負ける。

どうすればいい?
打開策を必死で探すたたらに
仙石から電話がかかってきた。
「見てるぞ」

それだけでたたらはうれしい。
自分を気にしてわざわざ連絡をくれた。
自分の戦いを見守ってくれている。
存在を気にかけてくれる人がいるのだ。

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