スピリッツ ネタバレ バレエ

【#ダンス・ダンス・ダンスール#ネタバレ】15巻136話

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「全身全霊バージョン」は重苦しい

ステージが始まった。
潤平の踊りは重い。
暗い。
全体的にページが黒い。
その中に人物が浮かび上がる。
健康的とか、明るさとは正反対の空気。

審査員が引く。
観客席も引く。
おもわず口を押さえてしまう女性もいる。
「あがいてもあがいても光の見えない苦渋」
「流れる血の匂い、痛み・・・」
とおいモンゴルの革命歌が、潤平とリンクする。

自分をさらけ出す潤平

潤平には自分の姿が見えている。
「父ちゃんが死んだあの日から・・・ずっとこんな感じ」
「ずっと見えない泥の中」
潤平も必死に生きてきた。
舞台のうえで潤平は自分の内側をさらけ出す。

潤平は、ただ明るいだけの少年ではなかった。
誰とでも仲良くできて、愛される。
人気者でスポーツ万能。
外からはそう見えても、一生懸命だった。

父がなくなってから潤平は世間との付き合い方を考えざるをえなくなる。
周りは無責任に勝手なことを言う。
それで傷つく母の姿を潤平は見ている。
「男だから家族を守れ」というのが父からの教えだった。

愛想よくして許してもらう。
のらりくらりかわす。
友だちと仲良く楽しくほどほどに。
成績そこそこキープ。

ぜんぶがうまくやるための対応。
自分を殺す。
相手の感情を敏感に感じ取り、欲しがっている言葉をあたえる。
「幸福な上手いことやれている少年」を作り上げた。
その結果が「気味の悪い笑顔」だ。

潤平とホーミーがつながる

潤平の「笑顔」を見て観客はぞっとする。
嫌悪感をもよおさせる表情。
内側に抱え込んだやるせなさ。
観るものがそれぞれ、自分の内面を無理やり見せられる。

バレエの素人、大原田さんにもダイレクトにつながる表現だ。
どうしようもない自己嫌悪。
潤平の頭の中にるおうの姿が浮かぶ。
クラスで浮きまくって、無理やり女子の制服を着せられて、そのままバレエを踊る姿。
るおうは救いがたいほど不器用で、かっこわるい。

だけど本当の男らしさは「自分を貫けること」。
潤平はるおうの側に行く。
バレエを自分で選び取った。
どうしようもなく病んでいる。
この病気は治しようがない。

潤平は立ち止まって後退りする。
ホーミーの向こう側にモンゴルの草原が見える。
革命歌と潤平がリンクする。
革命は人を殺し、新しい国を作り上げる。
同じように潤平はバレエを選んだ。
泥の中でもがく生き方をする。

岩井先生が叫ぶ。
「お前は自ら物語る側にまわったんだ!」
「叫べ!!」
「若くして死んだロックスターのように!!!」

ロックを聴きたおした記憶が感情をたかぶらせる。
ジミヘン、
カート・コバーン、
ジェフ・バックリィ、
イアン・カーティス、
ジャニス・ジョプリン、
そしてニコラス・ブランコ。
幼い潤平をうちのめしたバレエダンサー。
事故で片脚を失い、二度と踊れなくなったダンサー。

踊りはクライマックスを迎える。
潤平は大技540を跳んだ。

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15巻発売日は12月12日

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