壁ちゃんの高校生活
壁ちゃんが踊っている。
マットがわりにダンボールでも敷いているのか？
その上でひじをついてブレイキン。
いつものように黒マスクを付けて
帽子も服も黒い。
昼間の学校らしいが「ダンス部」ではないようだ。
でも学校のどこか空きスペース。
「もうちょい音上げていい？」
「いやこれ以上、上げるとまた苦情・・・」
昼間の学校で踊るのは厳しい。
周囲に気を使わないと禁止されてしまう。
気を使って音を鳴らす。
カボくんのダンス部でも練習。
「きゅーけい！」
部長の恩ちゃんが音頭を取って自由練習に入る。
新しい音響機器がはいって良い音で鳴る。
空調のはいった部屋で鏡を見ながら踊れる。
ダンス部として学校に認められていれば、
ととのった環境を使える。
この差は大きい。
カボくんのブレイキン
カボくんはまたうまくなった。
フロアが使えるようになっている。
低い姿勢で踊れる。
カボくんは即興に抵抗がないのだ。
壁ちゃんに教わったときは
決まった振りをそのままやったが、
その内容をいかして踊る事ができている。
カボくんは楽しい。
「言ったことないけど『クラブ』ってこんな感じなのかな」
踊るのが好きなのだ。
ワンダさんは恩ちゃんの指導にこたえる
ワンダさんもどんどん上達している。
「ヒット」が自由に打てるようになった。
恩ちゃんの指導がいいのだ。
今になってみるとカボくんにもわかる。
恩ちゃんの用意した練習メニューをやれば
ヒットが習得しやすい。
ヒットだけではない。
「ロール」「ウェーブ」「スライド」など
ヒップホップ発の技術を身に付けられるよう
恩ちゃんは配慮していた。
カボくんは、恩ちゃん以外からも手広くダンスを吸収する。
伊折先輩からの「ハウス」
壁ちゃんから「ブレーキン」
あれから壁ちゃんによく誘われる。
伊折先輩の変化
伊折先輩は部活に来るようになった。
とはいえ、もともと口数が少ないタイプだ。
練習スタジオの隅に座っている。
伊折が「上手い人」ということはダンス部のみんなが知っている。
アドバイスがほしくてきいてくる。
伊折はとまどいながらも言葉をまとめる。
体の動きを言葉にまとめるのは難しい。
一生懸命さに好感が持てる。
「まず動くのは『体幹』」
「まあだから、恩ちゃんの『幹の部分』だけマネシてみ」
よくまとまっていてわかりやすい。
恩ちゃんのいうとおり
伊折に教える才能があるかもしれない。
言い方もやさしいし。