ボールルームへようこそ11巻の発売日は4月16日
ようやく結果発表
ついに結果発表。
ここまで長かった。
今までの流れからすると、優勝するのはたたら&千夏ペアだろう。
釘宮の不調がていねいに描かれていた。
本来の釘宮だったら、たたらを圧倒していたかもしれない。
だが釘宮はダンプにひかれた。
リハビリをしても元に戻らないほど
決定的なダメージを抱えている。
釘宮じしんが自分の不足を受け入れる描写もあった。
パートナーの井戸川も釘宮の敗北を認めるかのような発言。
見に来ていた清春は、発表すら待たずに会場を出る。
「順位はもう分かっている」
しずくも同意していた。
たぶんたたら達が優勝だろうが
わかっていても、はっきり発表されるまでは落ち着かない。
たたらは社交ダンスを中3ではじめたばかり。
まだ高校生だ。
優勝すれば驚異的な成長。
いちやくスターである。
前回では、ふてこい感想をつぶやいて
性格の悪さをかいまみせていた千夏が
おだやかな表情を見せている。
「なんだかんだ楽しかったよね、私たち」
死にものぐるいの苦闘のはてに
勝ちも負けも受け入れる境地になったか。
2位と優勝の表情
準優勝がアナウンスされる。
2位は釘宮組だった。
ということは、たたらたちの優勝。
見開きの大きなカットで4人の表情がならぶ。
奥から、たたら・千夏、釘宮・井戸川・・・
たたらは深刻に目を見開いてまっすぐ前を見る。
千夏は目をぎゅっとつむって歯をかみしめる。
釘宮は半眼で天井を見上げ、目を閉じてため息。
井戸川はぼうぜんとフロアを見つめる。
思いが強すぎてなんとも言葉に言い表せない。
今までの波乱万丈を経て、この大会にたどり着いた。
千夏が全身で感情表現
優勝したのは、たたらたちだ。
2人は目を大きく開いて見つめ合う。
千夏が最大限に腕をひらいて
すぐ横のたたらに向かう。
強烈な喜び。
もちろん、たたらもめっちゃうれしい。
しかし千夏の向こう側に釘宮がいるのだ。
釘宮が目をつむって下を向くのが
たたらの目にうつる。
たたらは、こういうのを見てしまう性格である。
釘宮はどこか満足そうにも見える。
全力で戦い抜いた納得なのか。
おだやかに息をはく。
釘宮は競争から降りることができないのか
とうぜん釘宮には満たされない思いがある。
ケガさえなければ、もっと踊れた。
理想としていた優雅なスタイルを
高い水準で完成していただろう。
こわれた体でよく頑張った。
清春は釘宮をみて言っていた。
自分だったらダンスをやめていた、と。
いまある体を最大限に使って出来るところまで戦い抜いた。
釘宮は、たたらへの敗北を静かに認めているようだ。
静まり返った客席から叫び声が上がる。
「おかえり釘宮くん井戸川さん・・!!」
ダンス雑誌記者の丁野さんだ。
釘宮のファンなのだ。
「釘宮リハビリお疲れ様!!」
「次、頑張れよー!!」
ほかのファンたちからも声がかかる。
釘宮にはファンがたくさんいる。
ずっと追いかけていたのだ。
これはやばい。
期待にこたえざるを得ないではないか。
また大会に出るのか?
釘宮は社交ダンスをやめられないのか?
「同情してる」
井戸川が釘宮につぶやく。
「戻ってきただけで、あなたは凄いよ」
じぶんが持っている体は不自由だ。
思いえがいている動きがまったくできない。
ハンデを抱えたまま踊り続けることは可能なのか?
思いもしなかった抜け道をみつけだして
傑作を生み出すことなどできるのか?
無理だ。
ひとつのチャレンジが死ぬほど辛い。
自分の進む道の先に行き止まりが見える。
読んでいると釘宮と竹内友先生が、かぶって見える。
釘宮のことを応援したくなる。