恩ちゃんの一回戦
ワンダさん1回戦突破のつぎは恩ちゃんのバトルだ。
なんだかんだ一凛高校は全メンバーが予選通過している。
優秀。
おなじダンス部仲間が応援に来ている。
恩ちゃんの対戦相手「宇千くん」はそうとう強いらしい。
雰囲気がちがう。
音楽がはじまる。
Logic-Warm It Up
宇千くんが先に踊りだす。
キヤラが強い。
なんというか黒い。
マッチョでごつい体つきと動きに味があって
なんでもない動きがかっこよくみえる。
何をしたって、独特の空気をかもし出す。
後攻の恩ちゃんは、宇千くんに引きづられない。
「私は、私をぶつける」
黒さで対抗してもしょうがない。
音への反応のよさ、
身体の動きのよさで音楽に反応する。
試合がもりあがる。
宇千くんがぴょんぴょんはねて喜んでいる。
宇千くん向きの黒い曲
2ターンめにはいった。
曲がかわる。
宇千くん向きの曲。ファンキーな曲だ。
Tyler The Creator-Yonkers
宇千くんは四つんばいになってこぶしで移動する。
ふざけているとしか思えない。
あえてかっこ悪く入ってくる。
それが音楽とよくあっている。
恩ちゃんも別方向から音楽に入ってくる。
身体をゆらゆら横方向にふってゆがめる。
静かだ。
ゆっくりした動きでついに停止した。
蛇拳つかいだ。
宇千くんの目の前でコブラと化して停止する。
かっこいい。
審査員の評価が別れた。
恩ちゃん1,
宇千くん1,
引き分け1。
トータルで引き分けだ。
恩ちゃんと宇千くんは延長戦へ
「延長戦なんてあるんだ」
いやそうとういい勝負ということなんだろう。
審査員ですら判断しかねる。
恩ちゃんも宇千くんもここで落としたくない。
ふたりのダンスをもっと見たい。
延長戦の曲はMIYACHI-WAKARIMASENミヤチの『わかりません』
キャッチー。
日本人ラッパーが「英語わかりません」を連呼する。
絶対的に宇千くん有利だ。
延長戦は宇千くんの勝ち。
音楽との相性が大きかったのではないか。
なにをやっても黒く見える。
曲にある、おふざけ要素を飲み込んでかっこよく仕上げるのに
宇千くんの生来の体格とかキャラが上手くマッチした。
「上手いのになれると
上手くやらないのが映える」
ハイレベルな勝負だった。
宇千くんはよろこんでいる。
恩ちゃんの手をとってお礼を言う。
すなおないいやつだった。
壁ちゃんのバトル対策とは
壁ちゃんはあいかわらず冷静だ。
バトルを観察し、対策をかんがえる。
いまみた宇千くんがいちばん強敵になりそうだという。
宇千くんはカボくんの「上位互換」。
カボくんの長所である体格と本能的な運動神経にくわえ
「黒さ」「Fankyさ」を宇千くんはかねそなえている。
壁ちゃんが重視するのはそのあたりなのだろう。
「伊折は対策済みだし・・・」
「立ちダンサーがやってることって大差ねーな」
ブレイクダンスの有利を壁ちゃんは信じている。
ダンスバトルでは「Funky」が強力な武器になるし、
ブレイクダンスがいちばん「Funky」をアピールできる
という考え方だろうか。
たしかに伊折先輩はひょうひょうとしていて
野太い迫力は出せなそうだ。
大柄なカボくんのほうが「黒さ」をだす可能性を感じる。