ブランコのスタジオレッスン開始
7日でアルブレヒトを踊れるようにならなければならない。
朝までレッスンして寝落ちしたが、夜にはレッスン再開である。
指導がこまかい。
まったく前へ進めない。
少し動いては止められて注意が入る。
アルブレヒトの雰囲気を出すためにどうすればいいか?
ていねいに
やわらかく
なめらかに
どう気をつけるべきかをブランコは具体的に指示しつづける。
順平は素直である。
ひたすらに指示どおり修正していく。
ブランコの言葉はときに抽象的だ。
何を言っているのかよくわからない。
ミスタープロ野球の長島監督のように。
「板になってパタパタパタというイメージだ」
潤平にはそれで通じる。
肩の力を抜いて美しく回ることができた。
見学しているものには不思議にかんじられる。
だいたい振りはもう覚えているのだ。
それをブランコの指示で磨き上げていく。
本番にはなんとか動けるようにはなっているだろうが、
まだ足りない。
るおうのアルブレヒトに引きづられる
けっきょく最後までとおせなかった。
帰りの地下鉄の中で、「もっとアルブレヒトを降ろしてこい」と
潤平はブランコから指示された。
表現の問題である。
アパートにもどった潤平はひとり考えつづける。
「メモ書き」作戦でメモを書きつづる。
しかし実際どうするかになると
るおうのアルブレヒトのイメージが強力に浮かび上がってくる。
いっそのことるおうをまねてしまおう。
翌日のレッスンで、潤平はルオウの雰囲気を取り込んでみた。
るおうの影響を逃れたい
ブランコの反応は早かった。
「顔芸やめろ!!!」
「顔からはいるな!」
一刀両断である。
潤平はそうとう気持ち悪い感じになっていたらしい。
ブランコにたずねられて潤平はるおうのことを話した。
昔みたライバルのパフォーマンスに引きづられてしまう、と。
ブランコはまっとうなアドバイスをくれる。
「この場面でアルブレヒトは何を考えている?」
「ジゼルのことだ」「ライバルのことなんか考えていない」
これはいかん。
とっさに潤平は軌道修正をこころみる。
「I'm ヒラリオン」
口に出してつぶやいてみた。
素直すぎる。
オルガ先生のジゼルが鍵になるか
良いタイミングでオルガ先生が入ってきた。
潤平用の衣装を持ってきたのだ。
ブランコがオルガ先生にお願いする。
潤平とオルガ先生で第1幕を通してみる。
貴族のお坊ちゃんが田舎の少女と出会うのだ。
アルブレヒトの衣装をつけて
潤平は架空のドアをノックする。
中からオルガ先生のジゼルがでてきた。
下から見上げるまなざしがめっちゃかわいい。
目を大きく開いて、ほおを染めている。
潤平は衝撃をうける。
そういえばオルガ先生は超絶美少女バレリーナだったのだ。
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