目の違和感がやまない
たたらはいつものように喫茶店でバイトしている。
今日は峰さん一家がきた。
ホール係として注文の品をテーブルへ届けるたたら。
姿勢がうつくしい。
峰さんが都民大会の優勝を祝ってくれる。
顔はあいかわらずいかついけど、めっちゃいい人である。
「ありがとうございます!相方の緋山さんのお陰です!」
たたらはさわやかにお礼を返す。
思いがけない感謝の言葉にぐっと来る千夏と
目の前のカップル感に嫉妬する明。
あいかわらず離れられない幼なじみ同士だ。
千夏が注文する。
料理を運ばせて、たたらをテーブルまで連れてくる作戦。
たたらは成長して、この世界を手に入れた。
まったく新しい人間関係だ。
しかし不安材料もある。
目がおかしい。
目の見え方がおかしい
たたらは学校で千夏に相談する。
・目の前で糸くずがフワフワする。
・視界の下が白くて足下が危ない。
仙台大会にむけて不安材料である。
千夏にもガジュにもわからない。
レッスンが終わってから千夏はマリサ先生に相談する。
教室に居合わせた先生方からの見解では「飛蚊症」。
それだけだったら心配することはないが
もし網膜剥離なら試合に出ることができなくなる。
一週間後にはグランプリin仙台があるのに。
大会で接触事故をおこしていないか?
たたらには思いあたりがある。
クイックのとき釘宮とはげしくぶつかった。
しかしマリサ先生に問われても
たたらは事故のことを話そうとしない。
ひとまず病院を紹介されて眼科へ診察を受けに行くことになった。
診断は網膜裂孔
千夏が付き添って眼科へ向かう。
正確な結果報告のためだ。
たたらがひとりで行ったら試合優先で絶対無理をする。
診断結果は「網膜裂孔」だった。
翌日にはレーザー手術をすることになった。
ふつうに生活する分にはなんの問題もない。
だがダンスはできない。
網膜裂孔とは網膜剥離の前段階だ。
要するに網膜がはがれかけている。
レーザーではがれかけているところをくっつけて安静にしておく。
もしはがれてしまったら網膜剥離。
失明の可能性もある。
試合どころかレッスンも停止
大会の一週間前にドクターストップがかかった。
とうぶん踊れない。
学校の体育すら見学するくらいだ。
たたらは納得できない。
大会の後で手術を受けたいと希望するが
マリサ先生には受け入れられない。
とうぜん仙台大会も見送りだ。
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