カボくんは勝つ方法を考え続ける
カボくんはしゃがみこんで考える。
壁ちゃんはすごかった。
技の多さ、技の難しさ、技の見せ方。
すべてが考え抜かれている。
壁ちゃんは時間と手間ををかけて準備してきた。
言い訳しない、結果にこだわる。
自分でそう言い切るだけの質の高いダンスを見せた。
それでも壁ちゃんに勝つためにはどうすればいい?
カボくんはあきらめない。
自分のムーブが来るまでのわずかな時間にひたすら考えつづける。
カボくんの作戦
カボくん考えたのは、壁ちゃんに教わった「セット」を使うことだ。
一緒に練習した時に、見栄えのする「セット」を伝授された。
見栄えのする一連の動きだ。
壁ちゃんはセットを大量にストックして
知的に組み合わせてバトルしている。
同じやり方を使えばカボくんはおそらく負ける。
壁ちゃんの引き出しの多さが逆に強調される。
カボくんは疲れている。
足がガクガクして力が入らない。
・・・脱力・・・
伊折先輩の言葉とワンダさんの言葉がカボくんの中でふいに結びつく。
伊折:「手足って要は体の末端なわけで力が伝わるのは一番さいごなわけ」
ワンダ:「当たる瞬間以外はずっと脱力する感じ。そうすると疲れない」
カボくんは方法を見つけた気がする。
壁ちゃんに勝つ方法というよりも
疲れ切った体でもう1ムーブ踊りぬく方法だ。
脱力を利用するのだ。
ボールがはねるイメージ
カボくんは立ち上がって踊り始める。
ハウスだ。
とにかく脱力をイメージする。
自分を体幹だけの生き物だと思い込む
手足はあくまでそれについてくるだけ
カボくんの中にはバスケットボールのイメージがある。
中学時代はバスケ部だった。
バスケならさんざん練習した。
音楽に合わせて、今いる空間にバスケットボールがはねている。
カボくんは異常な感覚を味わう。
床が動いているかのような錯覚。
体の疲労を利用し、転がるように自然体のハウスを見せる。
カボくんは耳が良い。
聴こえている音に的確に反応して、体の動きに翻訳する。
「音が視える」
カボくんの長所を強調する踊りができている。
壁ちゃんの反省
カボくんは壁ちゃんと全く別方向の攻め方をしてきた。
壁ちゃんの弱点がきわ立ってくる。
壁ちゃんは自分の3ムーブ目を反省する。
早取りだった気がする
ハメどころ多いから逆に欲かいた
構成を考えて組み立てるから、しかたのないところだ。
体の自然な動きをじゃまされるかわりに
お客さんの感情をコントロールできる。
壁ちゃんは意図的に絶大な効果をあげた。
あとは審査員がどう判断するかだ。
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