真鶴が潤平を連れてきた理由
潤平は真鶴の意図を誤解しているらしい。
るおうに対する真鶴の感情が原因だと思っていた。
しかし真鶴はそんな人間ではないらしい。
もっと自分中心で、利己的な感情で動いている。
潤平をオーディションから落としたい。
そこはまちがいない。
「私がめだたなくなっちゃうじゃない!」
ストレートに理由を説明する。
真鶴は率直だ。
あの監督は才能があるから、この映画できっと賞を取る。
自分はそれにのっかって主演女優賞がほしい。
ようするに潤平はジャマだ。
この映画からは引き離したい。
だからホテルに呼んだ。
「あなたにはおちてもらうわ」
オーディション会場でのあの言葉は
潤平をおびき寄せるワナだったという。
魔性の女
潤平の推測を、真鶴が笑う。
るおうとの親子関係なんて思いつきもしなかったらしい。
「あなた、なんてロマンチックなの!」
ひどいやつである。
あくまでも正直だ。
真鶴は潤平を真っ直ぐ見つめる。
「あなたみたいなパートナーと組めてれば」
「私だってバレエ」「辞めなかったのにぃ~」
ぐっはぁ
潤平は真鶴のフェロモンにあてられる。
やばい人だ。
そしてバレエの素質がすごい。
目の前で見ると真鶴は才能のかたまりだ。
なぜ辞めてしまったのか?
もったいない、と問う潤平に真鶴が答える。
たりなかったのは「思い込み」だ。
真鶴にたりなかった「思い込み」
真鶴はうまれたころから強制的にバレエを仕込まれた。
自分の意志も何も関係なくいわれるままに踊っていた。
バレエへの思い入れがない。
だから芸能界を知ったときにあっさりと進路を変えた。
動機はたんなる好奇心。
「でも全然後悔はないわ!」
真鶴ははっきりといいきる。
初めて自分で選んだ道だからだ。
幼いうちにバレエをはじめるとどうしてもこういう事がある。
他人が選んだ道をたどる義務はない。
「流鶯もいい加減そろそろ気付くんじゃない?」
自分の人生は自分で選ぶしかないのだ。
潤平と真鶴は正反対だ。
潤平は父親の期待にこたえようとジークンドーをはじめた。
ジークンドーをやめてバレエをはじめることで自由になった。
真鶴は母親にきめられてバレエをやっていた。
バレエをやめて芸能界に入ることで自由になった。
方向は正反対だがやっていることは同じ。
自分で発見した道を追いかける。
「思い込み」こそが成功のカギだ。
るおうの危機
るおうについては思い当たるふしがある。
潤平はるおうの言動を思い起こす。
もともとバレエに苦痛をかんじていた。
今だってワガノワでるおうは「素行が悪い」らしい。
精神的に不安定。
物心つく前からバレエをやらされていたから
自分が心からバレエ好きなのかどうかいまいちわからない。
もっと衝撃的に面白い物があれば進路変更するかもしれない。
何も見つからなかったらバレエをうだうだ続けるのだろうか。
真鶴の役者っぷり
真鶴の説明は筋がとおっている。
それでも潤平は反論する。
るおうは困難を乗り越えてバレエを続ける。
「バレエもっ!」「あいつは辞めない!!!」
もちろん潤平の思い込みにすぎないかもしれない。
理屈をこえて潤平はバレエを信じている。
だから真鶴はるおうをおばあさまに預けたのではないのか?
おばあさまならるおうにバレエ教育を施すことができる。
潤平の無茶な主張にたいして真鶴は豹変する。
とつぜん泣き出した。
るおうを捨てた日のことを涙ながらに語りだす。
うろたえる潤平の目をのぞきこんで
キスへの流れを作ってしまった。
ルームサービスのベル音で我に返る潤平。
もう訳がわからない。
演技と実生活がごちゃごちゃになっている。
たしかに真鶴のほんものの感情が見える気もしたが
演技とのつなぎ目がどこなのか見当もつかない。
潤平はすごすごと部屋を出た。
ダンスダンスダンスール21巻の発売日は9月10日
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