初デートだ。
バレエ観劇に行く。
チケットを渡されて、
公演を見に行くことになった。
王道のバレエ「白鳥の湖」だ。
発表会で踊るため。
その勉強のためだが、デートには違いない。
都の私服がまぶしく映る。
しかしいざ開演すると潤平はさっそく寝落ちした。
演奏会あるある。
暗くて、空調が効いていて、ステージが退屈だと眠くなる。
都のほうは背筋を伸ばして鑑賞。
違和感だらけのバレエ公演
休憩時間にふたりはロビーで向かい合う。
ドリンクを買うとバカみたいに高いから、
潤平は、水をのむ。
ウーロン茶700円? シャンパン?
アホらしい。
平気でそんなものを飲んでいる人らに距離を感じる。
こんなやつらにはなじめない。
「スクールのお友達」だそうだ。
都は学校生活を捨てているところがある。
バレエの練習時間を確保するためだ。
部活は科学部。LINEはやらない。
それってどうなん?
世界がちがう。
それでもすごいものを見れば報われる。
休憩後、潤平は衝撃を受ける。
びっくりして客席から立ち上がってしまった。
舞台に「悪魔」が登場し
雰囲気が激変したのだ。
悪魔と姫と王子から目が離せない。
公演が終わると、潤平はひとりで森に駆け込む。
あれをやってみたい。
都には帰ってもらった。
夜の公園で舞台で見たダンスをなぞり始める。
どうやったらあんな「品格」が出るんだ?
足先のだし方、手の出し方を試してみる。
デートのクライマックス
都が帰ってきた。
潤平の後を追ってきたのだ。
黒鳥を踊り、潤平に手を伸ばす
「一緒に、踊ろ?」
思わず都の腰をつかんだ。
持ちあげようとしてしまった。
同じように動ける気がしたのだ。
舞台の世界に入り込んでしまって、
いまだに余韻が抜けない。
都は持ち上がらない。
そのまま潤平に倒れ込む。
現実との落差が大きくてショックだ。
あんな風には動けない。
そのうえ女の子が自分のうえに乗って
顔いっぱい笑っている!
もうひとつショックである。