三角関係
雨の中で、潤平は黒島とキスをした。
交際スタートだ。
「俺のことずっと
好きだったってよ・・・・・・!!!」
恋の始まり。
人目を盗んでキスする。
いちゃつく。
相手が自分を好きなことを確認できて
うれしくてたまらない。
あん時もあん時も
やっぱそーだったんだわ。
潤平は浮かれまくって
夏姫にあきれられた。
「キモッ」
「バカなの?」
夏姫によく言われる2ワードだ。
「あんたは・・・元々好きだったわけ?」
「なんか・・・好きだった気がしてきた!」
正直すぎる発言が出た。
男子はアホだ。
「映画の中のあるワンシーンをさ」
「偶然再現してくれちゃってさ」
説明する潤平の目の前で
トラックが大量の水を跳ね上げる。
びしょぬれ。
また映画のワンシーンを再現してしまった。
夏姫だって潤平に会いに
家出してわざわざ長野まで来たのだ。
海咲と天
黒島から潤平へLINEがきている。
子どもバレエ公演のことが
生川のホームページで紹介されているのだ。
子どもたちのインタビューからさりげなく
次回『ドン・キ』公演の告知につなげている。
売りのひとつは海咲だ。
まるでアイドルのようなイメージで
海咲のプロフィールが紹介される。
差をつけられてしまった。
なぜ海咲はこんなに推されるのか?
天だって、「上手くて」
「努力もしていて」「男前で王子で」
ローザンヌでも入賞しているのに
子どもバレエ公演にまわされた。
いまの天の踊りは物足りない。
何かがあるのだ。
銀也の特別出演
今回の子どもバレエは
caughtごっこで始まった。
ストロボを焚いてジャンプする。
盛り上がりすぎて収拾がつかない。
騒然とした子どもらのなかに
突然、銀也があらわれる。
カリスマダンサーだ。
「ギンヤよぉー」
興奮のあまり叫ぶ先生。
銀也は長野まで蕎麦を食いに来た。
オープンカーに美女を乗せて。
ついでに小学校に降臨した。
芸能人の所業である。
ギンヤ神は踊りはじめる。
立ち姿だけで小学生が静まった。