バレエ漫画 フィールヤング ネタバレ

【バレエ・リュス ー ニジンスキーとディアギレフ ネタバレ】第3話

更新日:

ニジンスキーの閉じ込められた牢獄

ニジンスキーはロシアを逃れ
フランスで自由を得たはずだった。

パリでならもっと自由に踊れる。
ニジンスキーの名前はヨーロッパ中で響き渡り
いまや「時代の寵児」となった。

それでもニジンスキーの気持ちは晴れない。
連日の舞台のため、練習で疲れている。
支援者たちに囲まれて営業するのが苦痛だ。
ニジンスキーはバレーに関して狂的な完璧主義者だ。
『春の祭典』では4回の公演のために
120回のリハーサルをした。

ニジンスキーはディアギレフに囲われている。
自分が自由になったとは全く感じない。
給料は無し。
家族の金銭的支援はディアギレフに依存している。
フランス語にも不自由している。

ニジンスキーは娼婦を買いに行く。
娼婦とアブサンを飲む。
アブサンには向精神作用がある。
19世紀のヨーロッパで流行った黄緑色の酒だ。

ニジンスキーの鬱屈と
ニジンスキーの踊りの魅力はリンクしている。
がんじがらめに縛られた中で
セクシーに苦しんで見せるストーリーだ。

『シェエラザード』での奴隷役
『ペトルーシュカ』での操り人形役

ダンス・ダンス・ダンスール46話の扉絵『ペトルーシュカ』のストーリー

当時の保守的なヨーロッパ人たちが共有していた苦悩でもある。
完成した階級社会から逃れられない。
どうやっても自由に生きられなくて苦しい。

ロモラの登場

ロモラ・デ・プルスキはハンガリー貴族の娘だ。
ゆくゆくニジンスキーと結婚することになる。
お金持ちのお嬢様である。
お母様は女優。
お姉さまはピアニスト。
ロモラは「とりえのない娘」だ。
やはり生きていくことに苦痛を感じている。
条件のいい結婚をするため同性愛者と婚約した。
階級社会に反抗するための屈折した行動だ。

ニジンスキーは、ロモラにとって救いである。
この上なく美しく、そして苦しんでいる。
ロモラは美しいものが好きだ。
美しく勇敢な王子のキスで目覚めたい。

ロモラはブダペスト公演ではじめてニジンスキーをみた。
ロシア公演が火事でできなくなり、
ディアギレフは不測の事態を東欧ツアーで乗り切る。
ウィーン公演のあと急遽ブダペストまで来たのだ。

ニジンスキーの精神は不安定さを増していく。
囲われていることが不自由でならないのに、
ディアギレフを離れると不安でたまらなくなる。
体調不良で舞台をキャンセルするなどと言い出す。

だがブダペスト公演は素晴らしい出来栄えだった。
完璧主義と不安の亢進。
両方から強烈に引っ張られて
ニジンスキーの踊りは不気味なほどの表現力を得てしまった。

ロモラはもう夢中である。

第3話へ 第4話(前)へ




-バレエ漫画, フィールヤング ネタバレ
-

Copyright© ダンスマンガ好き , 2024 All Rights Reserved Powered by STINGER.