マガジン 社交ダンス

【ボールルームへようこそ ネタバレ】10巻42話43話

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千夏仕様にバージョンアップ

たたらはコツをつかんだ。
体は不快感でいっぱいだ。
イメージ通りに動かない。
千夏は端正な社交ダンスの形を
踊りながら示唆してくる。
パワーにも強力すぎて
対抗するどころではない。

無我夢中の対応の中で
ようやく双方のつりあいが一致する。
安定とはほど遠いバランス。
なぜか踊れている。
たたらたちのダンスは
フロアに異物感を振りまいている。

つねならぬ雰囲気に周囲が戸惑う。
まこはきづいた。
「今のたたらさんは」「怖い」
思うように動かない身体をひっぱって
千夏によりそうことに極限まで特化した。

尋常でないパワーと
社交ダンスの美しい動きを
千夏は兼ね備えている。
変態的な感応力と
関節の可動域を広げた大きな動きで
たたらは対応しはじめた。

清春がたたらをみて喜んでいる。
「歪んだ奴」
「パートナーに寄り添うことで
自身の姿までも変えていく」

今たたらは「怖い」踊りをする。
千夏が言ったからだ。
「私はもっと」
「強くて怖い奴が好き」
たたらはなんのためらいもなく
そういう踊りをやろうとし
ダンスを変えてしまった。

釘宮ペアとの接触事故

たたらたちの動きは大きくなる。
倒れないのが不思議なほど・・・。
パワフルに早く動く。
釘宮の視界に割り込んでくる。

釘宮は試合中は人間を認識しない。
まわりの人間はたんに
陰毛のような「もじゃもじゃ」に見える。
「もじゃもじゃ」の中から
たたらが飛び出してきてぶつかった。

接触事故である。
釘宮のヒジがたたらの目にあたった。
同時に試合終了時間になった。
たたらは脳天気だ。
釘宮にペコペコあやまり、
ぶつけた箇所を千夏につかまれて
痛がり、盛大に騒いでいる。

無邪気で、無神経。
釘宮にはたたらの素直さが気にさわる。
たたらはダンスをはじめてまだ1年。
面白くてたまらない時期だ。

まだまだうまくなれる。
世界が輝いて見える。
釘宮も1年めはそうだった。
たたらを見ていると
ダンスを習いはじめたころの
自分が思い出されてくる。

釘宮の子ども時代

釘宮がダンスをはじめたのはまだ小学生の時。
ぼんやりした少年だった。
3人きょうだいの末っ子。
優秀な兄ふたりの下でおっとりと育った。
いいところのお坊ちゃんだ。

学校の帰りにネコをあとを追いかけて
知らない道筋に迷い込んだ。
たまたま社交ダンス教室の前だった。
たまたま先生が出てきた。
偶然のきっかけで釘宮はダンスをはじめた。
地獄のはじまりである。

釘宮にはダンスはいま楽しくない。
かといってやめる気にもなれない。
地獄だ。

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