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【ダンス・ダンス・ダンスール ネタバレ】15巻128話

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好評だった潤平のコンテンポラリー

ホーミーにのせて踊るコンテンポラリーはうまくいった。
今井先生の振り付けのテーマは「道」
鏡に映る自分の姿にとまどいながらも
おのれの道を突き進む。

観客の反応もいい。
踊り終わるとしぜんに拍手が起こった。
いきいきして、前向き。潤平らしい。
銀也さんからも好意的な言葉が出た。

「俺、やなんだよねー」
「ガキに暗いテーマや曲踊らせたりすんの」
「そんな表現力も経験もないんだからさ」
潤平のいいところは、天真爛漫さということか?

振り付けられた動きはできてきている。
本番まであと20日。
精度をあげていけば最高の状態を作り上げたい。

今井先生は何も言わない。
しかし物足りなさを感じている。
足りないものを気づかせるために
一連の特別授業に潤平を連れまわしはじめた。

寄席、歌舞伎、オペラ・・・?

今度は潤平にいっさい踊らせない。
今井先生はいろんな舞台を潤平にみせてまわる。
バレエと関係があるようには思えない。
最初は「うまく踊れたごほうび」かと思っていた潤平も
しだいに不安になってきた。
寄席にはじまり、ありとあらゆる舞台に連れて行かれる。
もう1週間以上もコンテを踊っていない。

「なんなんっスか?」
たまりかねた潤平に、今井先生が問いかける。
「常に自分が何故そこにいるのか考えなさい」
コンテンポラリーの指導って何かこんな感じだ。
すっと教えてくれない。
自分で結論にたどり着くのがルールのようだ。
まるで禅問答。

シャンソンで過去にかえる潤平

「考えなさい」と言われたってわからんもんはわからん。
連れてこられて来てみただけだ。
今夜はシャンソン。
なぜにシャンソン?

ところがシャンソンを聴いているうちに
潤平はおさないころの記憶を思い出す。
父に連れられて、シャンソンバーでイベントを見た思い出だ。
友人たちに潤平のことを話す父は嬉しそうだ。

帰りに今井先生が問いかける。
「シャンソン聴きながら何考えてたんだ?」
「良い顔だった」
「これまでのお前の踊りに出ていなかったお前の顔だった」

すっと言えや・・・
それでも今井先生は教えてくれない。
ただ昨年のYAGPファイナルのコンテを見ろと指示する。

昨年の1位はすごかった。
戦争で両親を殺されて、
生と死が隣り合わせの環境から出てきた。
舞台の上でも目が違う。
「なぜそこにいるのか」はっきりと見て取れる。
斬りかかってくるような意思がある。

YAGPに出るなら
そういうやつらと同じ舞台に立つことになる。

「俺ってなーんもなくね?」

家に戻って潤平はYAGPの動画を見た。
例のコンテは鬼気迫るパフォーマンスだ。
振り付けのポーズはノイマイヤーの「ニジンスキー」風。
昨年2018年のローザンヌ1位のコンテっぽい雰囲気だ。
見る者に人間が発狂する瞬間を体験させる。
鬼気迫る演技だった。

ニジンスキーとバレエ・リュス

2017ローザンヌ・バレエコンクール決勝での「ニジンスキー」

「うっわ・・・俺知ってる、見たことある」
動画をみて、潤平はるおうを思い出した。
やむにやまれぬ衝動に突き動かされて
ギリギリのところで生まれるダ踊り。

「こいつらにとってダンスは、生きること」

ここにきて潤平は根源的な欠落に気づく。
自分にはそこまで語りたいこと自体ない。
「俺ってなーんもなくね?」
まあしかし比べるのは酷だ。
現代日本に生まれて、普通に育ったら、
カザフスタンの戦争孤児みたいな状況はない。

一朝一夕に解決するのは難しい。

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15巻発売日は12月12日

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