恩ちゃんの目標
カボくんはダンス部部長の恩ちゃんに会いに行く。
3年の教室で恩ちゃんたちはたむろしている。
みんなスカートが短い。
カボくんは3年女子のかっこうのあそび相手だ。
キョドるカボくんをからかう。
でも行ってよかった。
恩ちゃんの話を聞くことができた。
ダンスをはじめたきっかけは
NE-Yeの"Because Of You"。
ニーヨみたいになりたいと思ったという。
それから恩ちゃんはバックダンサーもやった。
高校生インストラクターもやった。
でも今は演出家を目指している。
音と映像で作品を作りたい。
カボくんの悩み
カボくんには悩みがある。
ワンダさんのことを考えないと踊れない。
こないだの伊折先輩とのダンスバトルで思い知った。
ワンダさんのイメージがあると踊りそのものに集中できたのに、
自分だけになると乱れる。
このままでいいのか?
恩ちゃんの答えはシンプルだった。
はじめは誰かを真似していい。
心の支えにしていい。
だけど自然にその人を必要としなくなる時が来る。
その時にカボくんは自分のダンスを手に入れる。
高校生とは思えない達観した考えだ。
カボくんにはよくわからない。
ワンダさんのさらなる進化
いつものようにカボくんはワンダさんと練習する。
「ちゃんと私のことみて」
脇の下ごしにみつめられてカボくんはドッキリする。
もう恋である。
ワンダさんはダンスに集中してひたすら踊り続けている。
最近あたらしいことを発見したらしい。
疲れにくい踊り方、体の使い方があるという。
脱力の方法だろうか。
「パンッパンっパンッパンって跳ね返る感じ」
カボくんにはよく理解できない。
ワンダさんはマイケル好き
練習が終わるとふたりはいっしょに帰る。
今日は雨が降っているのでカボくんはワンダさんをカサに入れてあげる。
仲良し。
ダンスの話をしながら歩く。
ワンダさんが好きなのはマイケルだ。
コンビニによってマイケルのDVDを借りることにする。
ワンダさんがバイトしてたコンビニの店長がマイケル好きなのだ。
「マイケルみたいなダンサーになりたい」
ワンダさんは言っていた。
コンビニを出ると雨があがっている。
確認のために差し出したカボくんの手のひらをワンダさんがつかむ。
そのまま手をつないでふたりは雨上がりの道を歩いた。
恋だ。
カボくんはワンダさんのなかに希望を見つけている。
自分はどもりだから、普通の人生はむずかしいんじゃないかと思っている。
強烈な不安をずっと抱えていた。
でもダンスがあれば、ワンダさんがいれば生きていけるのかもしれない。
ニーヨとマイケルを見ながらカボくんは練習する。
Michael Jackson"Brack Or White"
マイケル・ジャクソンに救われた人は多いんじゃないかな。
「こんなことをしてもいいんだ」「こんなことを考えてもいいんだ」と元気になれる。
カボくんはずっと踊り続ける。
カボくんはワンダさんにチーム結成をもちかける。
ワンダさんは快諾。
どうせなら「ワールド オブ ダンス」出場。
世界一になりたい。