ワンダさんからの気づき
壁ちゃんはワンダさんとふたり会話を続けいている。
ワンダさんが素直すぎて壁ちゃんは拍子抜けする。
カボくんもどうやら同じらしい。
壁ちゃんはバトルの一環として
カボくんを怒らせたり焦らせたりさせる
パフォーマンスをしているつもりだったが、
カボくんはまったく気づいてすらいなかったかも。
現に目の前のワンダさんは気づいていなかった。
それどころかカボくんは、壁ちゃんを尊敬しているという。
マジか。
これでは壁ちゃんのひとりずもうだ。
ひとりになった壁ちゃんは
先程のバトルを動画で見直してみる。
バトル後初めて会うカボくんと壁ちゃん
動画をみると、たしかにカボくんから「敬意」が感じられる。
なおいっそう悔しい。
壁ちゃんは敗北感を噛みしめる。
黒マスクをはめ直した壁ちゃんの前にとつぜんカボくんが現れた。
カボくんは素直だ。
「・・・す、凄かったです。壁谷さん」
カボくんもまた敗北感に打ちのめされている。
壁ちゃんの前でカボくんはどもりモードに入った。
まとまったことが何も言えない。
「似た者同士かよ・・・」
壁ちゃんはなぜかカボくんの感情を理解する。
カボくんの腕をぽんと触って「良かったよ」と立ち去る。
壁ちゃんはあくまでクール。
アッセイさんのにとっての「セット」
喫煙室に伊折先輩が入ってく来た。
「ちょっと1本だけ」
アッセイさんにことわって伊折先輩が食べだしたのは「ヤンヤンつけ棒」
あいかわらずの甘党だ。
アッセイさんが壁ちゃんをどう評価するか、
伊折先輩はきいてみた。
最高だ。
「アグレッシブな分打たれ弱さはあるけどスキルは間違いない」
「何よりオリジナリティがある」
伊折先輩は気になっていることを踏み込んで聞く。
「セット組むのはどうすか?」
伊折先輩と壁ちゃんの根本的な違いだ。
壁ちゃんはセットを組む。
あらかじめ用意した一連の動きを大量にストックしている。
それを音楽に合わせてすばやく構成する。
見た目とはうらはらに、かなりの頭脳プレイ。
伊折先輩からすれば邪道だ。
しかしアッセイさん的には、それもありらしい。
理由の一つはジャンルのちがいだ。
壁ちゃんはブレイキン。
「予備動作から一連の流れが一つのムーブとして完成する」
ジャンル的に技のフレーズがどうしても長い。
伊折先輩のハウスのほうが直感的に音に反応しているようだが
技が小間切れで短いから、音楽に密接しているように見えるだけ。
アッセイさんからしたら、ブレイキンとハウスの違いは相対的なものだ。
どっちがいいかはバトルの場でそのつどきめたらいい。
伊折先輩がアッセイさんに宣戦
それからアッセイさんと伊折先輩はシューズの話でもりあがる。
伊折先輩がずっと欲しがっていたシューズをアッセイさんは持っているという。
伊折先輩は一歩ふみこむ。
「俺が勝ったらその靴俺にくれませんか」
伊折先輩が決勝戦で壁ちゃんに勝って
エキシビションでアッセイさんと勝負して
その戦利品がアッセイさんのシューズだ。
ドキドキするわ。
伊折先輩、男である。
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